藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書のトップを飾る氏の「女陰塚(ほとづか)」につきレビューします。異次元妖異譚である。むかしむかし、ではなく現代のある所に、女陰塚と呼ばれるスポットがあったとさ。塚じたいが「こんもりと盛り上がった場所」の意で、すでに何やら異空間への扉ともなる女体の入口を連想させる。そう、恥丘、はたまた本書「溢れて」のカバーのように。詳細はあまり書かないことにするが、読んで普通に面白い。会社の同僚の使嗾に乗ってワンダーランドに踏み込んだ主人公の男は、そこで竜宮城で接待される浦島太郎のようにご馳走を受ける。あ、料理も出てくるけどメインはアッチの女体盛り方のご馳走ね。当地のしきたりを知らされた主人公は、かくして来たるべき日の再会を約して女陰塚を後にし異世界より帰還する。終わり方は清々しくさえあるが、姉妹二人と相次いで交わるプレイ描写も充実していて高評価。