ベランダ菜園を通じたお隣りさんの交流の話、というとほのぼの感がありますが、要は初めての一人暮らしで自炊苦手な女子大生と、激務のせいでベランダで野菜を確保せざるを得なかった元社畜の交流の話です。
ヒロインまもりは親の言い付け通り自炊を頑張ろうとするも、生鮮食品(主に野菜)を使い切れずに腐らせ挫折。ひょんなことから隣人の亜潟さんを真似て植物を育て始めます。
面白いのは、亜潟さんがベランダ菜園を始めた動機。社畜だけに何時でも、少量ずつ色々な野菜を経済的に入手するには、自分で育てるのが一番簡単だっただけ。丁寧な暮らしでも意識高いわけでもなく、コスパ重視な所に親近感がわきました。
まもりの食生活の現状も、亜潟さんのベランダ菜園の動機も、一人暮らしあるあるだし、ベランダ菜園のハードルが下がった気がした。
そして、亜潟さんの合理的レシピがまた良い。
海鮮丼の酢飯作りが面倒で和風ドレッシング使ったり、調味料の原材料を分析してレシピを考えたり、パセリ代わりにニンジン葉使うような適当さが好きです。
上級生になったまもりも後輩に、インスタント袋麺をアレンジした簡単な亜潟レシピを伝授するなど成長しています。
二人が互いに助けられたり癒やされたりして、いい関係になっていくのがじんわりします。
そして栗坂家や亜潟家他、周りの人たちとのやり取りもいい。10巻まで一気に読んでしまいました。