このレビューはネタバレを含みます▼
石田衣良という作家の“素顔の思考”に触れられる、いわば私的雑誌のような一冊
短編、エッセイ、人生相談といった多彩な断片が並びながらも、その根底には一貫して「現代をどう生きるか」という問いが流れている
とりわけ人生相談では、相談者の言葉の奥に潜む本音をすくい上げる洞察力が光り、作家ならではの解像度の高さを感じさせます
語り口は過度に感傷的にならず、あくまで現実に足をつけた穏やかな提案に留まるため、読み手に考える余白を残すのも魅力?
雑多でありながらも不思議と統一感があり、気になるページから拾い読みできる軽やかさも心地よい
石田作品に親しんできた読者にとっては、創作の背後にある価値観を覗き見る楽しみが広がる一冊