このレビューはネタバレを含みます▼
視覚を失った主人公という設定が、単なる特徴づけに終わらず、物語の構造そのものを根底から支配している点が鮮烈
見えないからこそ疑念は増幅し、家族という最も近しい関係さえ不確かなものへと変貌していく‥
中国残留孤児、臓器移植、戦後の歪んだ国策といった重い主題を抱え込みながらも、物語は過剰に沈鬱にならず、むしろ静かな緊張感を持続させて読み手を導く
盲目ゆえの感覚描写は濃密で、闇の中に生きる息苦しさがページ越しに伝わってきます
巧妙に仕掛けられた伏線が終盤で一気に反転する快感は、正統派ミステリの醍醐味そのもの?
真実を知ることの残酷さと、それでも人が誰かを信じようとする意志が、静かな余韻として胸に残る一作