藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書のトップを飾る氏の「花言葉」につきレビューします。「いちどだけでも抱いておけばよかった」。主人公の男のボヤキからはじまる本短編は特に凝った設定もなく、果たして一度抱いておきたかった相手の女との思いを遂げ、時を隔てて再びの邂逅に至る筋書き。その過程で惜しみなく様々なプレイが散りばめられている。奇を衒った過激な性描写もなく、素直な筆致が丁寧に重ねられていて好感が持てる。タイトルにある花言葉も、やや唐突ながら出てきます。何の花かはお楽しみ。本作は美しくしっとりとした仕上がりではあるが、他の著者の作品を読んでおらずアンソロジー全体に対する評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。