ネタバレ・感想あり新世界より 全3冊合本版のレビュー

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悪と善の曖昧さを改めて考えさせられる
2023年9月29日
其々に正義があって立場や状況によっては善が悪になり悪は善になる。それも主観でしかない。主人公の早季が色んな制限を解除しながら突き進んでいく姿は圧巻。最初に全てが終わった後の手記という形で語られる為、何度もシぬ目に会う事になるけれどシなないという安心の元に読めるのは有難い。それでもなお、ドキドキしながら最後まで一気に読ませるのは本当に素晴らしいと思う。バケネズミ達の生き様も尊くて、それに敬意をはらえる主人公が本当にステキ。貴志祐介さんの女性主人公は、天使の囀りもですけど、芯が通っていて強くて憧れます。さすがSF大賞!読んで良かったです!
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膨大な伏線と知識、世界観が秀逸
2021年5月2日
創作にリアルさを追求し、あたかもその世界が実在するかのように罠に嵌められた作品。歴史上の事柄や、虫や動物の生態系、科学、病気や心理学など実際に起こった事柄や知識まで織り交ぜて書かれるので、どこからどこまでが実在の事柄なのか境目がわからなくなる。そのくらいにのめり込めます。ドボルザーグの『家路』は義務教育を経た日本人であれば誰もが知る音楽。それを要所で使用されることで、暗示のような作用も体験しました。作品は少女の一人称で進行します。舞台は今から千年後の世界。呪力とよばれる神力のような力を皆が手にしていて、それを軸にストーリーが進みます。序盤で伝説や、正体不明の化け物、習わしや、ぞっとするような表現の伏線が散りばめられますが、全て綺麗に回収されます。一人称をうまく利用することで、こちらの胸が締め付けられるようなシーンもありました。ネタバレは一切無しにご覧になることをお勧めします。アニメや漫画には表現できない、文章ならではの良さを体験できますよ。
傑作です
2019年11月28日
人間がもし、超能力・魔法の類が使えたらどうなるのか?
二次元ファンタジーの世界ではなく、リアルの世界だったら文明はどうなるのか、人間は生きるコミュニティを存続させるためにどうするのか、突き詰め書かれた傑作です。人間の欲深さと、儚く切ない命の輝き...無駄も隙もない伏線の回収が鮮やかでした。
渡辺早季
2023年5月3日
貴志祐介先生の大ファンです。この作品はSFとしても、人間ドラマとしても、ミステリーとしても、とても秀逸なのでお勧めです。
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作家名: 貴志祐介
出版社: 講談社
雑誌: 講談社文庫