古事記と言えば、その名称ぐらいは日本人ならば誰でも知っているとしても、内容について理解出来ているかとなるとなかなか少数派なのではないかと思います。本書はそんな古事記の内の日本神話の部分を読みやすいラノベ風の物語にしたものです。私自身、以前から漠然と日本神話に興味は抱いていたものの、解説書等が読みたかったわけではないので本書はまさに自分にうってつけでした。そして、実際読んでみると面白い!“ラノベ”と銘打っているだけあって、本当に文章表現は軽いというか中高生向けかなと思いますが、誰が読んでも理解しやすいという点で本書を超えるものはなかなかないのではないかと思います。著者自身、古事記の研究家というわけではなく、ただただ古事記愛が高じて『ラノベ古事記』を書かれたそうで、つくづく“好き”というのは無限の力と可能性を秘めているのだなと感心しました。元の古事記は上中下の3巻に分かれていて、本書は上巻部分に当たるそうなので、いずれ残りの2巻もラノベとして是非読んでみたいと思いました。