マンガキャラの描き方の技法書、フルカラー226ページ。
hontoのバーゲンで100円で発見、キャラの360度回転というのは
プロでも難しいので興味を引かれ購入。
始めの骨格と筋肉の人体図が良く描けており、意外な掘り出し物かと
期待しましたが、複数のイラストレーターが担当している為、
一部写真を安易にトレースした様なお手本もありクオリティに
バラつきがあります。
大体は、顔・体・衣服・ポーズなどの写真と簡単な描き方を示した、
広くて浅いテンプレ集的な内容。題名の360度については、
人物の正面・斜め・横と俯瞰・アオリの描き方、写真とお手本を示して
「これで色んなキャラやポーズが多視点から描けるよ!」という事
なのでしょう。
ただ、すべての図版が多視点な訳ではなく、一部の項目が数パターンで
示されているのみ。
上から下の縦回転や、3点透視が必要な深い角度がついたものはなく、
決して本格的ではないので、過度な期待は禁物です。
全般的に技法よりもお手本を並べた感じの構成で、描き方の説明に
ついては、立体感の把握に欠ける点が気になります。
頭部については俯瞰やあおりなどの場合、ルーミス氏の様に球を
利用したり、湖川友謙氏の技法書の様に、卵型に捕らわれずサイコロを
用いたイメージの方が描きやすい場合もあります。
体も棒人間から始める描き方は、海外のイラストの技法書でも
よく見かけますが、普通は胴体と腰部を箱や筒に見立てて、立体感を
与える点をしっかり説明します。
本書の場合は、アタリから肉付けへの説明箇所が非常に大雑把で、
初心者には不親切です。
また上腕と前腕の長さを同じとしたり、俯瞰やあおりの人体の描き方で、
パースを使った長方形分割法を説明しない、描くのが難しい手については
お手本とポイントのみ等、所々で粗が目に付きます。
基礎がしっかり身に付いている方には得るものはありませんが、初心者が
真似するテンプレ集としてはボリュームがあるので、悪くはないと思います。