このレビューはネタバレを含みます▼
元カレがしんどそうな話…と読み始めましたが、ハピエンで良かったです。元カレ、今カレ、受…と感想を書くと表現がややこしくなりそうなので個別に。
・元カレ(野口):受の郁巳に取り憑く形で存在。要所要所で出てきます。自分が死んだ経緯を悔しく思うも死は受け入れており、郁巳を助けたり、今カレ(朝倉)との初Hの時は朝倉にアドバイスも。残してしまった郁巳のことを第一に思い、最後にいい仕事をして成仏します。
・今カレ(朝倉):表面的には冷たそうに見えてギャップある弁護士。千駄ヶ谷の広い家におばあさんと2人暮らし+老犬一匹。郁巳の件は最初断ろうかと悩むも幽霊野口が陰で頑張って引き受けることに。途中からは野口の存在に気づき、初Hの時は先生のあとがき曰く「多重音声」で初めての男性(郁巳)相手の指南を受けることに。
・受(郁巳):元カレ野口の死を受け入れて立ち直ろうとする不憫受。両親は居るものの離婚し高校からは一人暮らし。儚げな容貌だけど物事や相手の本質は捉えることができ、野口に与えてもらったものを大切にこれから頑張っていこうとしています。野口の同僚(平川)に作品が盗作され脅されても野口の為に立ち向かおうとしたり、平川からの強〇未遂後に朝倉を引き留めたいと体を許そうとしたり(この時は未遂)といった案外現実的な面あり。最後に野口が見守ってくれていたことを知ります。
元カレは心残りを解消して成仏、今カレと受は人間として成長しつつお互いをパートナーとして生きていくことになった話でした。今カレ朝倉のおばあさんも存在感大で器も大きく素敵な人。元カレ野口と共に孫と受を結びつけた影の功労者です。悪者はきちんとその報いを受け、登場人物+老犬が皆幸せに終わるいい話でした。ただ☆−1なのは、納得して成仏したとはいえ元カレ野口には同情してしまったから。自分がその立場だったら…と思うやりきれなさはどうしても心に残りました。