出版社・ヤマケイさんは『山怪』シリーズとか、山の不思議なお話を集めた本を多く出しておられるので、その筋なのかと思うと、ちょっと違う。たしかに著者が「異界」に、その住人に出会ったあれこれを語っている不思議なお話なのだが、それは紛れもなく著者の個人的実体験であり「現実」だからなのだろう。著者の言う「異界」は我々が住むこの三次元的現実と重なっている。シャーマニックな能力を持たない一般人でも、実は無意識ではこれらの「異界」を体験しているのではないかと思う。読みながら明るく広やかな感覚に包まれた。きっと著者の人柄が、そんな方なのだろう。