このレビューはネタバレを含みます▼
41年前の未解決誘拐殺人事件を探る前半と比べて、後半の犯人の追い詰め方や現代で起きた殺人の動機が脆すぎて、推理小説としては破綻しています。前半250ページを読んだ時間が無駄にしか思えないほどお粗末な結末。弟を死に追いやりそれを隠すために世間を狂言で翻弄し、41年を経て今度は自らの過去の罪を隠すために子供の父親を平然と殺害しただけでなく子供時代の自分にも暴力を振るっていた母親とその母親を盲目的に庇い続けた祖父を憎むことはあっても庇う娘がいるわけがない。さらに、共に未解決事件の捜査にあたったかつての同僚が殉職したことを1年前まで警察官だったのに知らないわけもなく、最後は訳が分からない終わり方で作者の底の浅さに呆れるばかり。担当編集者もよほどいい加減なのか、所々静岡県警三島署を三島県警と表記している謝りにも気がついていないようで、作者、編集者、校正のどの関係者も金銭的時間的コストを支払う読者を舐めきった作品。そりゃこんな低次元の作品売れるわけないから値下げしますよね。定価で購入してほとほと後悔、例え暇潰しでももっと質の高い作品を吟味すればよかった。