このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家さん デビュー前の作品との事 栞の章を読み終えた時 ライトミステリーの連作かと思ったのですが..
先に密室のトリックありきで書かれたためか、被害者を密室に閉じ込めた犯人の動機と行動が非現実的で異常者にしか見えず、青春ミステリとしての読後感が台無しになっていて惜しい。しかしながら高校の同級生たちが章ごとに語り手を変え前章との重複部分を含みながらも少しずつ各々が事件の検討と推理を進めていき、ついには真相にたどり着くその過程描写はたまらなく愛おしい。青春小説の要となるはずのヒロインが退場し作中を終始悲観的な雰囲気を占めるなか、「奇蹟が起きた」と称しとんでも推理が披露される第7章の箸休めを描いた作者は好き。