藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「女梅雨」につきレビューします。高齢の書道家の弟子にして不倫相手だったアラフォーヒロインが、師匠の没後、欲求不満でいるところに書家の孫に出会い、物語が展開する。その後の運びは性愛小説お決まりのパターンだが、随所にこれまでの熟女vs年下男との構図にない試みがあり、大いに満足のいく一篇である。ありがちな、年上女性が遊びで相手を誘惑するというものではなく、肉欲と大きな年齢差という現実との狭間で葛藤するヒロインの揺れ動く胸中が詳らかにされ、このスジ展開が徐々に読者の気持ちをかき立てていく。そして、幸せなクライマックスへの一気に繋がっていく展開は、著者の高い文章力、構成力を感じさせてくれる。ただ、他の著者の作品を読んでおらず評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。