タイトルでわかるとおり、本作は知らぬ日本人のいない昔話から題材をとったと思われる短編作品で、登場する女が『鶴乃』という名前であることや、男が女を助けたことをキッカケにして深い仲になる点など、ほぼ『鶴の恩返し』がベースであることは間違いなし。但しこちらは歴史ものではなく、女も鶴に変身して戻る結末とはなっていない。さて、肝心の性描写の方だが、優しく、心細やかな鶴乃の性格が詳細に描かれ、その上に指戯、口戯、本番が濃厚かつ多くのスペースを割いて記されていて、大いに読者の気分を盛り上げる。星数は迷った。3は明らかに超えている。が、四捨五入してやはり3か。でも、こうして昔話を土台にしてめくるめく性愛の世界をあらたに創作するという試みは歓迎したい。