ネタバレ・感想あり戦場のコックたちのレビュー

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タイトルからは想像できない
ネタバレ
2023年11月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 第二次世界大戦の対ナチスドイツの西部戦線において、アメリカ軍人として従軍し調理のスキルを身に付けた特技兵(つまりコックさん)として仲間の胃袋を支える、青年ティモシー(通称キッド)が主人公のミステリーと戦争文学。
キッドはおばあちゃんが作ったレシピ帳を読んで育った、食べる事が好きな心優しいおばあちゃんっ子、味については若いながら中々の造詣があるのを見込まれ、先輩コックさんに誘われて料理の特技兵となり、空挺兵としての訓練も受け、占領下のフランスに降り立ったところから本格的にミステリーが始まります。
序盤の章では、シルクやナイロンでできたパラシュートを戦地でどう入手したのやら酒と交換して集める機関銃兵ライナスの謎や、補給拠点から忽然と消えてしまった3tもの粉末卵(とても不味い糧食)の行方、と戦場でありながらタイトルから連想できるように戦地でのコックさんから見たどこかのどかなミステリーが展開されますが、章が進むにつれて戦争の悲惨さを描写する骨太な戦争文学が展開されます。(序盤の章から戦争の犠牲者や、ナチスに協力した人の末路といった描写はありますが……)
友情で結ばれるも戦場での狂気にあてられ発狂してしまった仲間、投降兵にも引き金を引く程に変わってしまったキッド、ソ連に蹂躙されるドイツ東部、ユダヤ人強制収容所のおぞましい現実と、第二次世界大戦の悲惨さや空しさををまざまざと描写したとても読み応えのある小説でした。
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