このレビューはネタバレを含みます▼
死後の世界を舞台にしながら、罰や恐怖よりも、「誰かを想う気持ち」の強さを描いた一冊
地獄という異界を舞台にした発想の面白さに加え、料理が人の心を動かし、縁を結び直していく展開が魅力的です
個性豊かな鬼や亡者たちとの掛け合いには笑みがこぼれる一方で、家族の愛情や喪失の痛みには胸を締めつけられる‥
とりわけ、血のつながりを超えた親子の絆を丁寧に掘り下げる筆致が見事で、終盤は自然と涙を誘われた
コミカルな場面と切実な感情表現の均衡が絶妙で、読後には悲しみだけではない前向きな余韻が残ります
お腹が空くほど美味しそうな料理描写と、人が生きる意味をそっと問いかける物語性が同居した、心温まる物語