このレビューはネタバレを含みます▼
才能と環境の不平等という普遍的なテーマを、ピアノの響きとともに丁寧に描いた成長物語
紙に描かれた鍵盤から始まる導入は象徴性が高く、音楽への憧れが人生を切り開いていく過程に心を動かされます
特筆すべきは演奏や楽曲の描写で、文字だけでありながら指先の動きや旋律のうねりまで想像させる筆致が見事
ライバルたちとの競い合いも王道の熱さがあり、それぞれの努力や葛藤が主人公の成長を鮮やかに際立たせる‥
一方で現実的な事情に疑問が残る部分はあるものの、それを上回るほど「音楽に人生を賭ける人々」の情熱が作品全体を貫いている
夢を追う厳しさと、誰かから受け取った想いを次の未来へ繋いでいく尊さが、美しい余韻となって胸に残る一冊