短編(というにはそれぞれボリュームがありますが)3話で構成されている、イケメンだけどやや残念な探偵壱弥と、助手を務める弁護士を目指す女子大生ナラのお話です。
3話とも日常に潜むほろ苦い経験を題材としており、読みての中には、物語と似たような体験をしたことがある人もいると思います。現実ではあまり思い出したくないような過去たちです。
けれど、京都という、大多数の日本人にとってある種の憧れを抱く土地で生じるそれらの日常は、不思議と優しく響く京都言葉と壱弥の存在を通して優しい物語へとかわり、どこかホッとするような、どこか儚さを感じるような物語へと昇華されていました。
作者さんが京都在住ということで、読むことで京都の街中をそのまま歩いているような感覚を持てるのも良かったです。大福食べたくなります(笑)
沢山の経験をしてきた、大人の女性と京都好きさんに読んでもらいたい本です。