このレビューはネタバレを含みます▼
食べ物の記憶と人の人生がゆるやかに交差する、味わい深い短篇集
それぞれの物語には大きな事件が起こるわけではありませんが、日々の暮らしの中に潜む寂しさや喜びが丁寧にすくい上げられ、読後には不思議な余韻が残ります
ラジオから流れる声を共通の糸として、別々の人生が同じ空気の中で息づいていることを感じさせる構成も見事
どこか懐かしさを誘う料理の描写も実に魅力的で、物語世界に豊かな温度を与えています
明確な答えを示すのではなく、読者の想像に委ねる余白の美しさも本作の大きな魅力?
慌ただしい日常の合間にページを開けば、誰かの思い出にそっと耳を傾けるような心地よさを味わえる一冊