小原先生の小説を読んでみたくて最初の1冊を探しましたが、表紙のイラストがどうにも気になりこちらを選びました。「非」さんというイラストレーターの作品で、少し怖いけれど心が惹かれてしまいます。本編を読んでから改めて見直すと、傷ついた美しい少年は、小児性愛者自身の姿にも見えてきます。
読みやすい文体で淡々と進む物語からは、重い十字架を背負って生きる人の、答えも終わりもない苦しみが当たり前の様に存在している事を告げられます。
小児性愛について語るには余りにも重いテーマであるため生半可な考えをここに書く事は憚られますが、当然の様でいてどこか曖昧だった点――小児性愛者と小児性犯罪者は違うという認識を持てて良かったと思います。