またまた出ました未亡人。本作のロマンスのお相手はヒロイン夫婦お抱えの庭師。旦那の没後、庭の様子を見に来た男は、ヒロインに屋敷の中に招じ入れられ、酒食を供され、その流れでヒロインの美体も馳走になる。詳細はネタバレを避けるため書かないでおくが、しっとりゆっくり、ほどよく抑制を効かせたストーリー運びのなかで、ワカメ酒というのが出てくる。これも詳しくは読んでのお楽しみだが、美女の躰の一部を使って呑む酒はまさに、「白玉の 歯にしみとおる ~」の牧水の心境に通じるか。ただ惜しむらくは、これも何度か他作のレビューで書いてきたが、アラ還という男の年齢設定はどうにかならなかったものかね。一応作中では歳のわりにモテるというキャラづくりがなされているが、せめてもう十歳ほど若い壮年の方が現実的だと思うのだが。