ネタバレ・感想ありスモールワールズのレビュー

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【販売終了のお知らせ】

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ワールドではなく、「ワールズ」な作品
ネタバレ
2023年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ なぜ「複数形」なのか、それは人ぞれぞれの人生が描かれている作品だからだというのがすぐに解る作品です。
一穂先生のお話はすべて好きなのですが、短編でありながらも最初から最後へと帰結し、そして切なくなる本でした。
人によっては涙する理由は違うと思います。ある人は作品中の人物に思いを馳せ涙することでしょう。また人によっては自分自身や、家族を思い出すことによって涙すると思います。私自身は少なくとも登場人物のお話と、自分の家庭両方を思い出して泣きました。「楽しい」という感情とはまた別ですが、心に深く刺さるお話ばかりです。
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6つの家族の物語
2023年1月10日
本屋大賞3位受賞の作品で前から気になっていました。6編から成る短編集ですが、どれも家族をテーマに描かれており読後ずーんと心に残るものばかりでした。「式日」の中に"一軒一軒の窓の明かりは自分のものじゃない明かりほど美しく見える"という一文がありますが、共感です。家庭という小さな世界に必ず存在する歪み。6作品の家族にも決して外からは見えない秘密や歪みがたくさんあって、その"歪さ"を愛し受け入れながら生きる彼らにどこか物悲しさを感じました。淡々としたイメージのお話ばかりですが、各話が次の作品へとうっすら重なり合う部分があり、それを探しながら読むのも楽しかったです。一人ひとりの小さな世界が知らない間に知らない誰かの世界と重なり繋がっていく、だから「ワールズ」なのかなと思いました。
面白い
2022年12月18日
先生のかかれる文章が大好きです。夢中で読んでしまいました。
いつものに比べ、後味に苦いものが残るものが多かったのですが、それでも素敵な作品でした。
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さすがの完成度!
2022年4月7日
2022年本屋大賞3位、おめでとうございます!!
「イエスかノーか半分か」の一穂ミチ先生のノンBL、ノンラノベで、色々な有名な賞の候補にあがり、賞を獲得された文芸書です。
同じ世界で生きている様々な家族と秘密のお話、6つの短編集です。
各お話はほんの微かに繋がっていています。
さすがの読みやすさ、面白さでページを繰る手が止まらず一気読みでした。
お話の形式もミステリー、書簡小説、ラノベ調と飽きさせず、先生の多彩さを改めて実感しました。
これが二足の草鞋での創作活動とはとうてい思えない完成度です!
どのお話もどの家族も歪んでいて心穏やかには読めないのですが、中でも「ピクニック」は秀逸です。
紡がれる内容もさることながら、全体に漂う謂れのない不気味さは何なのか?
それがラストでストンと納得され、身体中鳥肌が立ちました。
ネタバレ厳禁案件です。
さらにさすがのBL作家さまと申しましょうか、LGBTQIA+についてのお考えの深さと言ったら!
泣けて泣けて、ちょっと辛かったです。

先生が「祝福と呪いの根源」と仰る家族の、綺麗事では済まない部分がぎゅうっと詰まった作品です。
けれど誰もが多少なりとも抱える家族の問題を、解ってくれる、と思わせる優しさがあると思います。

ラストの「式日」の中で言及されている向田邦子の作品は「字のない葉書」の事でしょう。
教科書的に美談とされるこの話を、歪んだ家族の対極として出した事。
「花うた」での作中作品『どろぼうの男の子』の存在感。
どんな家族であれ、どんな繋がりであれ、何もかも取っ払った最後に残る純粋な心が希求するモノとは?
面白い!だけではなく身につまされ、考え、糧となる作品だと思います。
………
「魔王の帰還」は某青年誌にてコミカライズされているので目にした方もいらっしゃるかも?
………
「スモールワールズ」刊行記念の特別ショートストーリー「回転晩餐会」が無料で出されています。
シーモアでも読めますので興味のある方はぜひ!
非常に良い
2022年2月24日
少しずつ物語が繋がっていて面白かった。物語の繋がりがあることは作品同士の関連性や作品個々の興味深さを深める。
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直木賞候補おめでとうございます!
2021年6月11日
初めてのレビューは一穂作品にしたかった。
一穂ミチさんの作品は2年弱で全て読みました。どれもこれも圧巻のストーリーで、甲乙付け難いです。
今作は短編集ですが一気読みは出来ませんでした。一つ一つの余韻が強く長く、何も手につかなくなりました。一日一つずつ、終わりが来るのを惜しみながら読み終えました。
『meet again』の不穏さ、『イエスかノーか半分か』のようなコメディチックなやり取り、『ふったら~』のような胸が潰れそうな切なさ。一穂ミチさんの魅力がこれでもか!と詰め合わせになった一冊です。迷ったら購入すべし!
凄すぎて言葉が出ません
2021年4月26日
深く、深く心に刺さる短編集。まさか先生がプリズンサークルをご覧になっていたとは。最初の物語を読んだ後に「これはいやミスを集めた短編集なのかな?」と思い読み進めていく内に全く違う事に気づき、鋭い先生の視点、登場人物たちのセリフに冷や汗が出ました。いち当事者として、自分ではなかなか言語化しづらい「傷つき」を言葉にし、そっと温かく寄り添ってくれるような物語としてこの世に紡ぎ出してくださる先生には感謝してもしきれません。いろんなものが浄化される気がしました。最初の作品からずっとファンでしたが、これからも益々先生のご活躍を楽しみにしています。
どことなく繋がりがある短編集
2022年9月8日
先生のBLじゃない一般小説を今回初めて読みました。
とても読みやすく、ほとんど一気読みぐらいで読めました。
どの物語も個性的な書き方で面白かったです。笙一のハピエンの物語を読んでみたいです。
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ハッピーエンドではないが読後感は悪くない
2021年11月22日
直木賞候補として話題になっていたため興味をもちました。

本作の刊行記念に無料配信されている「回転晩餐会」という短編もよかったので、そちらを読んで試してみるのもよいと思います。

身近にありそうな題材で、登場人物たちの心情も伝わってくるため物語に入り込みやすく、どれもハッピーエンドではありませんが、ずどんと引きずる感じがないので読後感は悪くないです。

それぞれ独立した短編ですが、他のお話の登場人物とリンクしているので、頭から順番に読んだあともう一度読み返してみても面白いと思います。
普段あまり小説を読まない方にも読みやすいんじゃないかな。「魔王の帰還」と「花うた」がおすすめ。
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読むのがつらい…
ネタバレ
2021年9月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ でも読むのをやめられないくらい面白い。
そして面白いけど、やるせない気持ちになる。

『愛を適量』だけ、雑誌掲載時にたまたま読んでいて、BL作家さんだからLGBTを題材にしてるのかと思ってたけどそういうわけではなかった。この本はやっぱり6作品読んで、一つの物語なんだと思う。

素晴らしい!んだけど、大好きな作家さんなんだけど、自分はご褒美(両想いからのラブ&エロ)がないとつらい。
心無い人の言葉とか、悪気はないけどえぐられる色々とか、本人のせいじゃない境遇とか運命とか、リアルで酷で心臓に刺さり過ぎてしまう。

そんななかでも『魔王の帰還』はちょっとだけ救われて、真央と鉄二の兄弟のやり取りとか、真央の方言とか良かった。
新しい感覚
2022年2月2日
前評判が良かったのと、図書館で借りようとしたところ500人待ちということで、購入。期待値が高すぎたのかもしれないけど、そこまで絶賛する程ではないかな、と。話によってガラリと作風が変わるのは面白かったが、いい話だと油断していると、ちょっと不気味な話だったり。。読後感が不安定。
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作家名: 一穂ミチ
出版社: 講談社