ネタバレ・感想あり私の少女マンガ講義(新潮文庫)のレビュー

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りぼんの騎士からの系譜、萩尾氏の創作技法
2024年8月15日
講義やインタビューを基にしている頁が多い事から、本書は先生の生の語り口そのままに著されており、読んでいてそこに私も聴衆の一人となったような気分になれる。少女漫画を愛好する者として、先生の見立てによる少女漫画の系譜の概説は本当に愉しかったし、先生の少女漫画観を知れて良かった。少女のロマンを漫画という特異な表現技法で仮想現実化、それも少年漫画よりも枠をはみ出たコマ割りを駆使しての心理表現と外見上の事実描写の多重性。大人になっても少女の心に戻って読む読み物。作り手が描きたい物と世に送り出す出版社の編集側との思惑のズレ。内容には正に解説者諸氏の言うところのインサイダーとしての視点もあり、熱心ないち漫画読者としての俯瞰的視点もまたあり。読んでいてフムフムと何度もど真ん中の話に冷静に首肯。それでいて萩尾先生の創作の裏側の工夫や葛藤、アイディアの降りるのを待つところ、頁数調整の話、天才の人となり?が窺えてそれも良かった。
「作品に対して持っているイメージが非常に強い場合には、映像化の依頼があっても引き受けることはできません。」としながらのイグアナの娘の話も面白かった。
少女漫画に特徴的な恋愛物の多さについて王道の分析をされながら、一方講義後半部、極めて実験的というか他の作家はあまりしないユニークな手段で描かれた、ご自身の数作品の制作舞台裏のような細やかな解説は、先生の際立って確立された少女漫画界での特別さを感じさせて、読んでいて興奮してしまった。女性漫画家人生が編集との相性次第なのは良く聞くが、良好な関係を築けていることを感じ取らせるのも良かった。
インタビュー内の萩尾先生の自由な言葉の数々に、矢内氏との間柄が良いこと、また萩尾先生へ敬意を隠さない姿勢を感じさせて気持ちよく読んだ。
42%過去のペンネーム誤植の件胸が痛んだ。
実は「少女の少女による少女の為の」の、本書の骨子的な矢内氏の言葉には、私は引っ掛かりを覚えないでもない。言いたいことは判る、がしかし、この言い切りには極端さのリスクを感じている。無論少女の心の持ち主の読者がメインターゲットのジャンルであることは核として間違いないし、そうあり続けて欲しい。私には少年漫画の過度のバトルや強い線が苦手だから。それでも少女漫画の境界はやや曖昧さが欲しい。でなければならぬ、というのではなく、描き手読み手は門戸開放、少女の為のだけ残して。
面白い
2024年7月31日
日本の少女漫画はどのように時代と共に変化していったのか。主人公の性格や生活などが時代と共に変化するのが面白い。
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漫画講義
ネタバレ
2022年9月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ イタリアの大学での講義録、少女漫画の歴史では、長年沢山の漫画を好きで読まれたことがわかります。時間の関係で紹介しきれなかった漫画家の方々も補足で記述があります。
自作品についての解説や、漫画を効果的に見せるコマ割り、他の漫画家の方々の手法等、興味深く充実した内容です。
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