このレビューはネタバレを含みます▼
「異邦人」を読んだときまず頭に浮かんだのは、相手がアラビア人の集団であったことです。またトラブルの発端は友人の情婦関係です。つまり普通でも無事には収まらない状況のなかで発砲し偶然、相手のアラビア人一人が死亡するわけです。
動機は自己防衛のためで、それが過剰かどうかは別にして殺人ではなかったはずです。
主人公のムルソーは裁判で「太陽のせい」と・・・つまり暑さで頭がボーっとした中で発砲してしまってるんです。少なくともムルソーにアラビア人に対する殺意の動機がなく、考えられるのは自己防衛しかありません。ムルソーが母親の葬儀に参列しなかっただの、恋人との情事なんかは完全に無関係な話です。ましてや非人間的な人格だ!などの批判は的外れもいいところ。
人間の不条理とか非合理とかはカミュが考えたテーマであって、実態はそうではなかったか?と個人的には考えています。