1巻だけだとなんてことないちょっと緩めなミステリアスな話だなという感想でしたが過去編となる2巻に出て来るアンナのパパの人柄が素晴らしかったです。
文章でパパの愛情深く、柔らかなのに芯があって知的な雰囲気がしっかりと伝わり、2巻全体が事件が起きていても穏やかに感じられる程でした。
巻末の番外編が秀逸でまさにそのものの場面なしで本編のパパの人望が読者に伝わっているからこそ成り立つこの登場人物たちのいる世界がどれだけの哀しみに包まれているか。胸に響きました。
一貫して過剰なイチャイチャもわざとらしく盛り上がりまくる結婚式の様子もない、見事に引き算が出来ている仕上がりでした。
それらを踏まえて1巻でアンナが幸せな日常生活を過ごせていたことにじんわりと込み上げるものがありました。過去編を2巻にする構成もいいですね。キャラたちにもブレがなく文章も不自然なところもないし話に集中できました。