BLは元々腐女子の妄想が起源だと思うので、ハピエンが多いのは作家さんが書いてて楽しいし、読者の満足感が得られやすいからなんだと思うけれども、さすがに後半に行くにつれて展開が読めるようになり、だんだん冷めてきました。意外にもそういう深みの無い話はベテラン勢に多く、新人のほうが挑戦的でインパクトの強い作品が多かったと思います。ベテラン勢は名前が載っていればファンが買うでしょうから、それほど気合が入っていないのかもしれませんね。作者の知名度と作品の熱量が見事に反比例していました。とはいえ『新人短編集』では売れないでしょうから、商業的にはそれで良いのでしょう。無名の新人作家が書いたものであっても、素晴らしい短編が掲載されているということは間違いありません。イラストは綺麗な色合いが印象的ですが、モノクロの挿絵がイマイチ。『初恋』のテーマに合わせて素朴な感じがする画風が採用されたのかもしれないですが、子供向けの少年漫画のようで色気がなくて残念でした。色々厳しいことを本音で書きましたが、全編読んで良かったと非常に満足しています。