ネタバレ・感想ありこのてシリーズのレビュー

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結ばれてめでたしめでたし、では終わらない
ネタバレ
2023年8月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ ふたりが出会い、恋をして結ばれてめでたしめでたし。では終わらないストーリー。
ある日突然かずとの前に現れた、半年前に亡くなった飼い猫ハナを名乗る少年。温かな行為を寄せてくれる少年に、正体はわからないまでもかずとは心を許し、惹かれていく。
「俺の本当の名前ははないあお」その名前を聞いた瞬間にかずとは全てを思い出し…。

ぴったりと組み木のように完成されているかのように見えるふたりでも、言葉にして伝え合わなければ時に歪み、隙間があき、形が合わなくなることもある。“幸せになってはい、おしまい”ではなく、幸せであり続けることの難しさを感じさせ、変わることに対する恐怖が見え隠れする不穏な空気が付きまとう展開にハラハラしっぱなしでした。歩和(あお)と同じ場所に立ち、同じ感覚であることに安堵するかずとは歩和の中の強さに違和感を感じ、歩和は自分の純粋なかずとへの想いを疑われたことに激怒する。「苦しませないとは言わない。苦しい時は一緒。ふたり一緒の共犯者」という幾度となく交わされるふたりの共通認識が理想的でもあり、脆く危うい幻想のようでもあり、疑心暗鬼にも囚われて、物語終盤まで常に薄気味悪い不安がつきまとう展開です。
こんなに大恋愛をしているのに、急激に冷める描写を挟み込む作者様の“心理描写を描ききる姿勢”には感嘆しました。能力の面では、少々強引でご都合主義なところも感じますが、丁寧な作風が大好きな、唯一無二の作者様だと思っています。
最終的には大団円。危ういまでのふたりの同一感が消え、健康的に共に歩むふたりが存在していました。読後感は良いです。途中のモヤモヤに負けずぜひ完読いただきたい、圧倒的に“読ませる”作品です。
圧倒される
2022年10月20日
泥沼の中で息も出来ず喘ぎ、もがき苦しむ中からの急浮上。暗闇を心細くひとりさ迷い、行く宛のない途を照らす一筋の光。立ち位置の違いからくる理不尽なバッシングへの盾。どんな場面でも読者の心をガッツリ掴んで離さない言葉の数々。本物の作家さんが持つ表現力に称賛の言葉が見つからない。
とりっき〜
2022年10月16日
透明感=作者様でしたが、最近は全方位から訴えてくる作品で心と脳をこれでもかと酷使し読まないといけない。
あらすじ等語るのは陳腐になりそうで省略しますが、読み手に挑んでくる気迫を感じ術中にハマった私は翻弄され、クールダウンしてから次巻へ挑みたいと思います。
最後まで読んで
ネタバレ
2022年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ うーん、これはBLとしては読んではいけない。それを踏まえて読んだ方がいい。
BL目線でいうと色々思うところはある。
一つの小説として読むと、全く違う想いが沸々とわいてくる。同級生の話とか載ってるのが顕著かな。
読後感が重い
ネタバレ
2022年9月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幼少期が可哀想でその後も可哀想で。最後まで読んで最初に戻って納得。でもどうなの?ってずっと考えてしまうお話でした。さすが作者さん。問題の彼等も同じ状況だったとしたらどうなってるの?とかまだまだ気になる点がいっぱいです。
この物語に出会えて良かったです
2022年9月12日
漱石の「こころ」や梨木香歩さんの「裏庭」を初めて読んだときと同じきもちになりました。いつか学校の図書室に置いてほしいです。続きが気になりますが、物語が終わってしまうのがこわいので多分読めません。朝丘戻さん、本当にありがとうございます
秩序とは何か
ネタバレ
2022年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 朝丘さん大好きな作家さんなんですが、今作は苦手でしたー。メイン二人の思考が共感し難くて…
自分達が正しいって思うのも、他人に裁かれたく無いって思うのも、裁かれる前に逃げてしまう事も、それは個としての選択の自由があると思う。
ただ、やられてやり返した時点でそれは相手と同じ立場に立ってると思う。自分達は悪くない。って主張を延々と読んでるのは精神衛生上しんどかったかな。
法の奴隷ってセリフがあったけど、個々の正しさが存在する世の中で安全安心に過ごせるためのルールが法という名の秩序だと思う。私刑が許されたら、人は安全に暮らせなくなる。
私刑を下すんなら、自分が秩序を犯してる。って事実はきちんと認識して欲しいかなぁ。自分は正しいって旗を掲げてるんなら、それはもう戦争の始まりでしかない
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作家名: 朝丘戻 / 丹地陽子
ジャンル: ライトノベル BL小説
出版社: ダリア文庫e
雑誌: ダリア文庫e