ネタバレ・感想あり白い帯のレビュー

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清潔感あるまぐわい
2025年10月27日
前半の助走部分と後半の絡みが分断されている。体を重ねる相手の男と出会いに旅立つ動機が弱い。それでいてスジの展開は強引。著者の苦心の跡。相手の男はかつての知り合いの陶芸家。舞台は唐津。当地の店でその男の作品を買い求め、次いで入った呉服屋で同じ男がデザインした和服の帯をも偶然目にする。陶芸家が帯の意匠も手掛けるという地味ながら斬新な設定。で、いよいよご対面。それからなぜか痴話喧嘩のようなやり取りのあと、勢いそのままに本番開始。絡みの描写はさすがの充実ぶり。陶芸作品も着物の帯も作品を象徴しておらず、木に竹を継いだようなつくりだが、濡れ場は品よく端麗な筆致でクォリティを維持している。読んでいると、しっかりエ口いのだが下卑た感じはしない。これは白い帯の存在が意識の下敷きとなって色覚的なイメージを植え付ける効果によるものか。だとしたら、藍川京おそるべし。なお、本作はコスミック文庫から刊行された短編集「艶文」に収録されており、重複買いに注意である。
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作家名: 藍川京
出版社: 株式会社大航海
雑誌: Aubebooks