本作品はコスミック文庫から刊行の短編集「艶文」に収録されている(重複買い注意)のだが、収録作品に共通して言えるのは性愛小説の肝である濡れ場までの前フリが長いこと。それで値段は他の出版社からの短編バラ売りの倍額であるからコスパの点では競争力が劣ると言える。本作も主人公のイラストレーターが既婚の男とホテルに入るまで、あっちに寄ったりこっちに寄ったり。寄った先で寒更紗というのは木瓜(ぼけ)の異名であるとの説明までわざわざ登場人物の口を介して語られる。本作は収録作品の中でも前段が特に長く感じられ、持久走(=長編)ではないものの、400m走ぐらいはした感じ。陸上経験者いわく、実はこの距離が一番キツいとか。プレイも他の収録短編(カラミ描写の質の高さから平均以上の評価)と比べあっさりしている。肛門愛撫をされて本気で嫌がるヒロインは著者の作品の中では異色。これってプラス材料にはならないよね。