このレビューはネタバレを含みます▼
著者の筆は、「棄てる」という苛烈な制度の奥に、人がなお手放さない温もりを静かに掬い上げる
極限の環境へ追いやられた老いた者たちの営みは、悲惨さに留まらず、どこか凛とした気配を帯びて迫ってくる
とりわけ姑と嫁の交わす声なき対話は、血縁や役割を超えた深い結びつきを浮かび上がらせます
素朴でありながら研ぎ澄まされた言葉は、生と死を対立ではなく連続として見つめ直させる力を持つ
重い題材でありながら、不思議と読後には静かな光が差し込む一冊
人が「生ききる」とは何かを、やわらかく、しかし確かに問いかけてくる