このレビューはネタバレを含みます▼
今村夏子ならではの、現実と夢の境界がゆるやかにほどけていくような感覚を存分に味わえる短編集
登場人物たちの願いや執着はどこまでも純粋なのに、その純粋さが世界の輪郭を少しずつ歪ませ、読み手の常識までも揺さぶってくる
こんなことがあるはずない‥と思いながらも、読み進めるうちに不思議とその理屈を受け入れてしまう読書体験が鮮烈
不穏さと切なさ、どこかユーモラスな味わいが絶妙に溶け合い、短編ごとに異なる余韻を残してくれます
明確な答えを示す物語ではないからこそ、読み終えたあとも何度も思い返し、自分なりの解釈を探したくなる
日常のすぐ隣に潜む異質な世界を描き出す筆致は唯一無二で、今村夏子作品の魅力を堪能したい人にはぜひ手に取ってほしい一冊