このレビューはネタバレを含みます▼
ロンドン警視庁「不可能犯罪捜査課」を軸に、密室や凶器消失といったカー得意の謎が万華鏡のように展開する短編集
トリックそのものは古典的で、現代読者には既視感を覚えるものも多いが、それを包み込む状況設定と語り口には、いまなお色褪せない魔力がある👌
ユーモアと怪奇趣味が同居し、ときに軽やかに、ときに倫理や法の在り方へと踏み込む振れ幅の広さも魅力
一編一編の完成度には差があるものの、「もう一人の絞刑吏」や「めくら頭巾」に代表される余韻の深さは、短編の名手たる所以を雄弁に物語る
トリックを解く快楽だけでなく、“不可能”という概念そのものを楽しむための一冊
カーという作家の気質と時代性を、肩肘張らずに味わえる好編纂集