このレビューはネタバレを含みます▼
谷崎潤一郎の美意識と食への執着が、これほど強烈な形で結びついた作品だったのかと驚かされる一編
珍味を追い求める男たちの姿にはどこか滑稽さがありながら、その食への執念は次第に常識の境界を越えていく‥
料理をめぐる描写は濃密で、味や香りだけでなく、食べ物の姿そのものまで想像力豊かに描き出す筆致が印象的
特に夢の場面では、現実と幻覚の境目が崩れていくような奇怪さが際立ち、谷崎独特の美的感覚を存分に味わえる
美食という優雅な題材を扱いながら、そこに人間の欲望や倒錯した好奇心を忍ばせるところも面白い👌
短編ながら読後の印象は濃く、単なる「食」を題材にした作品では終わらないところに、この小説の魅力があります
谷崎作品に馴染みのない人にも、その大胆な想像力と文章の濃さを知る入口としておすすめしたい一冊