とあるテレビ番組の本の紹介のコーナーにて、取り上げられていた1冊がこの本でした。運命だったのか、日頃は漫画以外の本に興味を持たない私が惹かれてしまい、紙の書籍を購入しました。
惹かれた理由の1つが表紙です。海底の景色の描き込みが魅力的でインパクトがあります。詳細は省きますが、表紙だけでなく中身(1ページそれぞれのデザイン)にもこだわりが感じられ、読んでいる自分もまるで表紙のタコくん(名前はタコジロー)と一緒に海中の世界にいるような気分になります。1つネタバレをしますが、この本の最後には袋とじのおまけがついています。なぜ袋とじにする必要があったのか……、この本を最後まで読んで納得。この袋とじは電子書籍ではどのようになっているのか分かりませんが、袋とじを開ける時のワクワク感は、紙の本でしか味わえないものでしょう。
この本は『書くこと』をテーマにした物語で、中学生を対象に書かれたものらしいですが、大人が読んでも楽しめます。読みやすい文体でかつ、主人公の中学3年生のタコジローくんは反抗期で、お母さんに対してイライラしたり、同級生との複雑な関係や、何も取り柄がない自分に対しての悩みが取り上げられていたりと、同じような経験をした方には共感できる内容だと思います。
作者の古賀さんのブログ(note)にも綴られていましたが、編集担当の谷さんやブックデザイン担当の佐藤さん、イラスト担当のならのさんをはじめとした多くの方によって、さまざまなこだわりを詰め込んだ、仕掛けが盛りだくさんの本に仕上がっています。関わった人たちの全ての想いが伝わる素敵な本です。