このレビューはネタバレを含みます▼
好きな和泉先生の作品ということで読み始め、ほぼ頭の中だけで練られた脱獄計画が緊張感とともに進められていく展開が気になりすぎて、すごく面白かった!
無実の罪で刑務所にいれられた弓削の、圧倒的な力の前に屈することへの葛藤と周囲への疑心暗鬼が緊張感のあるストーリー展開で、どれだけ綺麗事を並べても、外の世界にいる人間には真実冤罪だろうと関係なく、囚人という一括りであることを突きつけられた。
囚人というかなり制限のある中での脱獄計画は、結果的に一緒に脱獄した羽嶋にすら全貌がわからないというもの。読者は弓削の心情をこれでもかというくらいに読んで、様々なシュミレーションの上での決行となっていることをわかっているけど、確かに思考回路がわからないと、見た目には何も起きてないように見えるかも笑
倫理観も価値観もすべてが意味をなさないブラックボックスで、葛藤はあるし結局冤罪は晴らされていないけど、爽やかな読了感でした♪