子供の頃からただ一人の人を愛し、ずっとそばにいて触れもせず、ただ見るだけでも父親に死ぬほど殴られ、逃げることも死ぬことも堕ちることも許されず…。愛した人は、自分から名前だけを奪い、そして他の男と行ってしまった。
色悪作家と校正者シリーズはラブコメテイストですが、本作はシリアスです。「ドリアングレイ」では完璧な男として描かれていた英知が、子供のように途方に暮れています。英知の心は血を流し続けている。その時、いつも近くで自分を助けてくれる四郎の存在がありました。
これは死んだ自己を踏み石にして、新しい自分を作っていく、死と再生の物語です。
豚の話。ここは人の一生において大変重要な話になっていますので、必読です。私も心に留めおきます。