経済小説の巨匠が手がける圧倒的ノンフィクション。当時の事件関係者への粘り強い取材や大量の資料に基づいており、まず内容が非常に精緻である。また、当時の国際情勢、田中角栄の生い立ち、政界の人間関係など偏ることない実に様々な視点から、事件が起きた背景や総理大臣逮捕に至った理由が述べられている。読み手を事件に没入、当時の関係者の心情に激しく感情移入させるのは真山仁だからできることで、ノンフィクションなのにハゲタカを読んでいるのと同じようなハラハラ感がある。手が止まらない。今年読んだ本の中で間違いなく一番面白い本。