訳もよく、読みやすかった。ホワイトトラッシュという言葉も存在も知らなかったので、当時の差別がどういうものだったかが興味深かった。元々のベースがあったものの戦争後の怪我を負った男性のメンタルが崩壊していく感じ、アルコールに溺れて家族に暴力を振るう、分かりやすいけど当時よくあったのじゃないかと思われた家族像がリアルに描かれていた。「虐 待」が社会問題になる前の放置された子どもがどのような暴力を受け、どう放置されたか、その中でどう生き抜いてきたかが伝わってきた。そして湿地の生物学の知識も詰まっており、それが物語や、主人公の生き方に影響を与えていくところも興味深かった。色々と考えさせられるところはあるけど、物語の終結は収まりがよくモヤモヤが残らないので、読後感はスッキリする。