このレビューはネタバレを含みます▼
平安の少女が抱いた物語への憧れと、現実の人生との距離が、時間をかけて少しずつ形を変えていく過程が胸に残る一冊
上京、宮仕え、結婚といった節目を重ねるなかで、夢見ていた世界が遠のいていく感覚が率直に綴られている
それでも心の奥には、物語の記憶が消えずに残り続け、ふとした瞬間に支えとなる――その描写がとても美しい?
人との別れや死に向き合う場面も多いが、だからこそ日々の出来事や感情が丁寧にすくい取られています
現代語訳によって親しみやすく、千年前の女性とは思えないほど感覚が近いのも魅力
遠い時代の記録でありながら、自分の人生ともどこか重なる、不思議な共鳴を感じさせてくれる作品