このレビューはネタバレを含みます▼
著者の想像力が、馬と人類の歴史を縦横無尽に駆け抜ける異色作
競走馬の名前にまつわる小さなずれから始まり、神話、生物学、哲学、競馬文化までを接続しながら、人は本当に世界の中心なのかという問いを浮かび上がらせていく‥
時間や視点が自在に交錯する構成は決して読みやすいタイプではないが、断片的な言葉の積み重ねが独特の陶酔感を生み、最後まで引き込まれる
特に、人が馬を支配しているのではなく、むしろ馬に導かれてきた存在なのではないかという発想が鮮烈で、人類史そのものの見え方を揺さぶってきます
言葉遊びや概念の飛躍には前衛文学らしい尖鋭さもある一方で、根底には「他者をどう理解するか」という普遍的なテーマが流れている
難解さはあるものの、不思議と読後に思索が尾を引き、もう一度ページをめくりたくなる一冊