大学講師として来日した英国紳士アンソニーと現代武士制度のもとで武士として暮らす隼人の同居生活。
あんまりにもよかった。人間賛歌だ。
今を生きるすべての人に読んでもらいたい。
己が己であることからは逃げられない。己が己であることは何かひとつやめたところで変わらない。
ラベルやカテゴリーといった枠は個と個が対峙する際にはさして意味を成さない。結局はひとはひと、自分は自分。それ達が交わってうまれるものがある。名前をつけられなかったり名前をつけたくないようものだったり、軌跡と呼びたくなるような、愛と叫びたくなるようなものだって、ある。
己と、そして目の前の人と、真摯に向き合う。当たり前だけれどむつかしいことの大切さを改めて感じた。
濃いめのミルクティーとビスケットをお供に畳の部屋で胡座をかきながら読み返そうと思う。