このレビューはネタバレを含みます▼
欲望と代償という古典的な主題に、どこか妖しい光沢をまとわせた連作短編集
願いを叶える代わりに、未来へ重い影を落とす“鐘”の設定は寓話的でありながら、読み進めるほどに人の選択の切実さがじわりと沁みてくる
各話は独立しつつも緩やかに響き合い、やがて一つの輪郭を結ぶ構成も巧み
過剰な残酷さに寄らず、あくまで静かな余韻で「欲とは何か」を問い返してくる点に、この作品の品の良さがあります
美貌の修験者という存在もまた、物語にほのかな神秘と不穏を添える重要な触媒
読後、善悪では割り切れない人間の弱さと温かさ、その両方を抱えたまましばらく考え込んでしまう一冊