このレビューはネタバレを含みます▼
仇討ちという重い動機を軸に据えながら、本作が描き出すのは、むしろ江戸の市井に息づく人の温もり
盲目の義父と若き未亡人という不利な境遇のふたりが、薬屋として日々を紡ぐ姿には、慎ましさと確かな芯の強さが宿る‥
連作形式で進む物語は、庶民との関わりを通じてやわらかく広がりつつ、背後にひそむ陰謀へと収束していく構成が巧み👌
実在の人物を織り交ぜた時代の気配も程よいアクセントとなり、読み味に奥行きを添えています
派手さに頼らず、人の情と因果を丁寧にすくい上げる筆致は、往年の名手を思わせる安定感
読み終えたあと、静かな余韻とともに、もう一作と手を伸ばしたくなる一冊