「蜜蜂と遠雷」と同じような空気感を求めて買うと失敗すると思います。蜜蜂と遠雷を読んだ時は疾走感や勢い、熱気が感じられ、あっという間に最後まで辿り着いた感じでしたが、springは話が進むごとにどんどん面白く無くなっていくというか、蜜蜂と遠雷では読んでいる途中で一回も残りのページ数を確かめなかったのに、springは何度か確かめてしまいました。相変わらず恩田先生はステージが持つ力強さや熱い熱、臨場感が感じられる描写が素晴らしく、流石だなと思った反面、主人公の色恋沙汰(バレエ仲間の男とその母親、両方ともと関係を持ったの)は必要だったのかと考えてしまいました。それまでの話の展開から、主人公への期待が膨らんでいた分、主人公が体関係でだらしなかったのかと思うと「あぁ、この人も人間だったのか」と落胆しました。神のような存在が所詮俗世の人間だったと分かったような感覚に近いかな。確か四つくらい話が入っていたけれど、最初の話が1番面白いです。最初の話だけ読むのでも良いかもしれないと思ってしまうくらい。特に最後の話は期待を裏切られるので、覚悟を持って読んでください。