ネタバレ・感想あり「超」怖い話×中山市朗のレビュー

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実話怪談レジェンドの奇跡な融合
2024年8月6日
本書の加藤一氏の後書に詳しく書かれている話だが。30年前に新耳袋が扶桑社から発刊されて、耳袋の怪異体験者の体験談を取材して記述するというスタイルに影響を受けて、超怖い話が慧文社から発刊されたという経緯がある。実話怪談は新耳袋と超怖い話の発刊から始まった。
現在のYouTubeで気軽に実話怪談を楽しんでいる若い方々は知らないかもしれないが、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)オカルト板では新耳袋派と超怖い話派に分かれて、どっちの方が怖いのかと論争になっていた時代もある。新耳袋著者と超怖い話著者は仲がよかったそうだが。
ただし新耳袋はひたすら日常に潜む怪異を余計な部分を削ぎ落とした文体で記述するのに対し、超怖い話は体験者の声を挟みながら新耳が扱わないヒトコワと怨念に関わる領域(ガチ怖)に踏み込んでいて、綺麗に実話怪談のスタイルが分かれていた。コレがネットでどちらが怖いか論争を生み出す原因になっていました。
そんな実話怪談黎明期の『絶対に新耳袋と超怖い話は交わらない。』というファンの声を打ち破ったのが「超怖い話✖️中山市朗』なのです。スタイルが違う実話怪談が1冊の本で読めるのだから、これが面白くないわけがない。本書は中山市朗氏の日常実話怪談に唸らされた後に、深澤夜氏と松村進吉氏のガチ怖実話怪談に震えるという一粒で二度美味しい内容になっております。本書を読んだ後に、世の中には様々な怪異に満ちているという読後感が味わえるかと思います。
映画界ではキングコングとゴジラという怪獣王同士がバディを組むシリーズが続いているのですから、超怖い話と新耳袋の奇跡的な融合も一度限りで終わらせないで続いて欲しいですね。
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