このレビューはネタバレを含みます▼
極夜という逃げ場のない闇を舞台に、記憶・証言・論理が静かに絡み合っていく知的スリラー
派手な仕掛けに頼らず、精神科医という立場ならではの聞く力を軸に、真相へと収束していく構成が端正
物語は比較的素直でありながら、その素直さを逆手に取るミスリードが巧妙で、読み手の思考を心地よく裏切ってくる
登場人物はいずれも過不足なく配置され、誰ひとりとして記号に終わらない点も好印象👌
冷戦下アメリカの空気感と極夜の閉塞感が相互に作用し、心理的圧迫をじわじわと高めていく演出は秀逸です
読み終えたあとに残るのは、謎解きの爽快感だけでなく、人が現実とどう折り合いをつけて生きるか‥
翻訳ミステリとしても完成度が高く、骨太なエンターテインメントを求める人に薦めたい一冊