このレビューはネタバレを含みます▼
自然科学を題材にしながら、こんなにも人の営みをあたたかく描いた短編集
ウミガメ、隕石、ニホンオオカミ、萩焼、原爆資料――一見ばらばらに見える題材が、「受け継がれていくもの」という一本の芯で鮮やかにつながっていく
知識を披露するためではなく、土地に根を張って生きる人々の痛みや願いを浮かび上がらせるために科学を用いた執筆が魅力👌
それぞれの登場人物は不器用で、生きづらさを抱えている‥それでも誰かと関わり、自然と向き合うなかで、自分の居場所を見つけていく姿が胸に沁みる
読み進めるほど、日本各地の風景や歴史の奥行きまで感じられ、知的好奇心も満たされる一冊
「人は自然の中でどう生き、何を未来へ残すのか」を、やさしく、しかし深く問いかけてくる作品