ネタバレ・感想あり藍を継ぐ海のレビュー

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人は自然の中でどう生き何を未来へ残すのか
ネタバレ
2026年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自然科学を題材にしながら、こんなにも人の営みをあたたかく描いた短編集

ウミガメ、隕石、ニホンオオカミ、萩焼、原爆資料――一見ばらばらに見える題材が、「受け継がれていくもの」という一本の芯で鮮やかにつながっていく
知識を披露するためではなく、土地に根を張って生きる人々の痛みや願いを浮かび上がらせるために科学を用いた執筆が魅力👌
それぞれの登場人物は不器用で、生きづらさを抱えている‥それでも誰かと関わり、自然と向き合うなかで、自分の居場所を見つけていく姿が胸に沁みる
読み進めるほど、日本各地の風景や歴史の奥行きまで感じられ、知的好奇心も満たされる一冊

「人は自然の中でどう生き、何を未来へ残すのか」を、やさしく、しかし深く問いかけてくる作品
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文句なしの良作です
ネタバレ
2025年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 研究者から作家に転身、という作者の経歴が活きた作品。
その土地土地の自然や歴史に根ざしたリアリティある描写をベースに、繊細な人間ドラマが展開されます。根底にあるのは、何か大きなものに対する人間の畏れ、といったものでしょうか。
どの話も面白く読みましたが、個人的には「祈りの破片」という話が特に刺さりました。
長崎の原爆投下という悲劇の当事者となったある人物の苦悩を、科学と宗教という一見相反する立場を交えつつ、現代に生きる平凡な公務員の視点を通して追体験する、という構成が秀逸です。
直木賞受賞も納得の良作と思います。
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作家名: 伊与原新
出版社: 新潮社