このレビューはネタバレを含みます▼
これはライトノベルじゃなくて文芸作品として世に出てほしかった。
ライトとは正反対の純文的な静謐さが漂う話でした。
これ第三者目線で見たら、そんな気にしなくてもいいのに。とか、そこまで自分のこと責めなくても…。って思ってしまうかもなんですが、そうじゃないんですよね。
誰かに苦しめられてそれがどれほどの痛みかを知ってるからこそ、それを自分が誰かにしてしまったって事への苦悩に苛まれてしまうんですよね。
被害者であり加害者になってしまった。
傷つけられて苦しんできたのに、同じような傷を誰かにつけてしまった。
あんなに嫌悪してた加害者に自分がなってしまったことと同時に、世界の全てを失ってしまった恐怖がすごく丁寧に描かれてて読んでてただただ苦しかったです。
全編を通して救いをどこに見出していいのかわからないような話ですが、だからこそ文学としての美しさを感じました