悪いことだと知っているはずのこと。たった一瞬のこと。で、壊れてしまう、生活…というか、日常。遠目で見る分には、職を得て普通な生活を営み続けているのだけれども、もう戻れない、かつてあった、ややつまらないかもしれないけれども暖かい、日常。あれだけで?あの一瞬で。いくらそう思っても、その一瞬が無かったことには決してならない。一瞬の過ちの、怖さ。
読むとわかると思うのですが、その事件だけでなく、日常的な何やかんやにも「当事者」と「外野」がいて、当事者間のやり取りはどんなんでも「そうか」と思う、思えるんだけど、外野の罪が、すごくスゴく凄い。酷くて辛い。気楽で、酷い。自分もやった事あるだろうし、無意識にでも引き続きやってるんだろう。
意図的にやる場合は、自分は違う、と言いたいのだろうと思う。つまり、近しさがあると感じる気持ちを否定したい。だから実際やるタイプだという事でなく、もしそうだったら?を恐れる気持ちがあるタイプ。良く(?)言えば危機管理とでもいうか。でも、やって良いことでは無いはずなのに、そうと思わない無神経さがあるか、もしくはそうは思ってもやらずにいられない。理性で抑えられていない点では、確かに近い。外野もまた、自分自身の当事者なので。
そういう姿を様々な登場人物の繊細さや無神経さでみせる本作に、悪い事はしない。という当たり前の、でも些細なことほど難しいソレを改めて刻むとともに、登場人物達が、何も無かった頃とは違っても、穏やかな日常を、6~8割くらいは感じて生きられるようになってって欲しいと思う。願う。
今回紙の本で、カバー裏にSS付きサービスがある版のだったんですが、最後に追い討ちです先生… 日常を大事にしよう!!
(追記)別視点、両面から描かれる、ありがたい構成でした。しかもまさかのもう一人の当事者の背景やらなんやら。この本のことで直接語り合える相手がいないのが、とても残念。書ききれない